ISO9001は、道具なので企業がISO9001を取得することで、無理が発生したり、無駄が発生してしまうのなら、むしろISOを取得するのは意味がなく、無駄に審査費用を支払うだけさらに悪です。ISO9001というある意味のハードルを設けて、より製品品質を上げて顧客満足度をあげるよう社長トップが旗を振り、社員は進んで規則や手順を間違えが起きないように作成して、継続的に顧客満足をあげられるように努力をし続けるべきです。昔のISO9001は、文書文書と、文書ありきのところが多かったのですが、最近のISOは、文書を昔ほど重要視していないという話です。しかし、やはり文書無くしては、なかなか企業全体にルールを徹底することはできないので、やはり文書から入るのが良いと思っております。会社の歴史が長ければ、たくさんの経験があり失敗した時に同じ過ちを繰り返さないようにルールを決めてきたと思いますが、その歴史に基づいた経験の積み重ねを文書という形にして、会社の財産につなげることができると思います。
文書体系図
まず文書体系図から作るのが一般的です。
日本国で言うところの、憲法があって、法律があって、法律の施工規則があってと、ピラミッド型に下に行くほど、文書の数が多くなるのが一般的です。企業では、憲法のことを第一次文書として、ISO9001では、品質マニュアルを作成します。ISO9001の要求事項が、品質マニュアルに記載されていると、ISO9001の審査が通りやすいのは確かですが、今のISO9001は、要求事項が品質マニュアルの文書になくても、良いようです。第一次文書は、品質マニュアルだけでなく定款とか経理規程とか、就業規則も第一次文書に相当しますが、ISO9001の取得をまず目指すのなら、まずは品質マニュアルを作成しましょう。品質マニュアルの作り方は、ISO9001の要求事項に沿って埋めていけば、心を込めなくても品質マニュアルは作成できる物だと思っております。心は込めなくても、品質マニュアルの中には、品質方針であったり組織図であったり必要なことは決めて入れておいてください。
章立てもISO9001の要求事項の通りに章立てを作る必要もありません。順番も企業のやりやすい順番で記載してください。
第二次文書は、企業の規定を入れるのが一般的であると考えております。規定と規程の両方の日本語がありますが、それは各企業文化があるので、それぞれ決めてください。当社では、第一次文書に関するものは規程、第二次文書には、規定の文字を使っております。規定の内容は、企業全体で、守らなければならない事項、日本国では法律と同じだと思って良いと思います。
第三次文書には、手順(SOP)が該当して、手順とは、ある職場で守らなければならない事項であったり、業務を進める上でその順番やチェックする項目を記載したものです。製品標準書や、承認申請書もこの第三次文書に入れておくのが良いと思います。
第四次文書には、一般的には、帳票や記録表といって文書扱いしない企業もあるかもしれませんが、決められたルールに則って作成された記録表は、そのまま、手順を示しているので、品質を担保する上では非常に重要なものです。それなので、記録を簡単なメモにしている会社は、ISO9001の取得の有無にかかわらず、記録表はノートに線を引っ張って記録するのではなく、記録表を正しい手順で作成することを強くお勧めいたします。日本国でいう帳票とは、あまりに多くてなんでもかんでもになりますが、結婚届けは、決められた枠の中に必要事項を記載しなければならないと考えれば納得できると思います。
その記録表や帳票の中に実際に記入された内容が、記録と呼びます。昔のISO9001では文書と記録は、完全に別れており、私も手書きじゃないものは、「記録じゃない」とまで言っておりました。それは、エクセルとかに転機する時に、逸脱データを書き換えてしまう可能性が高いためです。しかし、現代となって今やIOTの時代ですので、手書きデータより検出器そのものから自動で送信されるデータの方がよっぽど信頼できる時代となりました。それに、記録はデータ分析しないとすごくもったいないので、データインディグリティ(データの信憑性)の面からも自動でとれるように会社は進んでやるべきだと思います。
また、記録についてですが、製造工程から消しゴムと修正液を撤収して、綺麗でなくても良いので事実を書いて、書き間違えた時には、それは線で消して書き直すことに変更いたしました。記入するのは、ノック式のボールペンのみとしました。キャップ式は、キャップが製品に混入してしまうからです。
審査者と承認者
文書体系図をなんとなくイメージできたら、それぞれの審査者(レビューです)と承認者を決めましょう。第一次文書である品質マニュアルについては、普通はトップマネジメントの社長が承認するのが一般的な企業かと思います。トップマネジメントが、工場長とか、事業部長であれば、そのトップでも良いです。審査者は必ず設定してください。審査者が細かく確認しないと、承認者は大変忙しいことが多いので、メクラで承認された文書ができる可能性があります。第二次文書、第三次文書、第四次文書、それぞれに審査者と承認者を決めてください。レビューと書きましたが、レビューの意味は、見直しと理解してよいです。
最新版管理
文書は、改訂できるので、同じような文書がいくつもできてしまいます。それを防止するために最新版管理をする必要があります。管理なので、文書番号をつけてその文書を特定する必要があります。また、現在の最新版は文書番号が何番なのか?わかるようにしておく必要があります。間違って旧文書を使用してしまい、以前と同じ間違えをする可能性があるからです。当社では、文書台帳を作成して最新版の文書番号が一覧でわかるようにしておき、紙の旧文書には✖️と日付と改定理由を入れることとしております。最新版の文書には、赤字で、変更された部分と、変更前の文面に色をつけて、変更前の文書は、取消線とフォントを最小にするという方法をとってます。
文書について、上のことを決めたなら、いつくかの要求事項を追加して、文書管理規定を作成してください。
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