管理図は、時系列にデータをプロットしていくグラフのことです。管理図に規格値は必ず入れなければなりません。また、仕様書、規格書には、記載されていないかもしれませんが、品質管理課は、管理値を決めておき管理値から外れた場合には、工程にフィードバックを行い、規格値を超えないように製造現場と連携をとって安定した製品の製造を行うように動かなければなりません。
管理図で扱うデータ
管理図で扱うデータは、毎日収集するデータで、集計データではありません。製品の製造工程は、必ずバラツキが発生するため、バラツキの偏りを把握して、規格値内の製品を製造する必要があります。例えば、重量、サイズ、性能等です。
企業によっては、規格値はあるが、管理値は設定されていない会社もあるかもしれません。その場合には200程度のデータを用意して、標準偏差(σ)を求めて、規格の中心値から±2σの数値を管理値とすることをお勧めいたします。
管理図の作成方法
管理図のX軸には、時間軸(一般的には日付)で、毎日データは追加されていきます。
エクセルでは、行に1データ入るように設計してください。以下の例では、日付をX軸としてあります。日付のすぐ右に測定データを入力する部分を設けて、さらに規格上限値、規格下限値、管理上限値、管理下限値を設定します。この規格値上限や管理値上限は、変更がないので、固定でおいて良いです。
まず、グラフを以下に記載します。以下の例は、1月1日から30日までのデータを示しておりますが、2月1日以降は、別のグラフにするのではなく、この1月30日に続けて、2月1日以降もグラフが表示できるようにしていってください。グラフを作成したり、そのグラフを提出するのが、仕事ではなく、安定した製品を製造する方法として管理図をつけているので、きれいに1ヵ月を表示する必要はありません。
次に、上記のデータ例を以下に、表示します。
エクセルでは、さらに、条件書式設定という便利な機能があることから、測定値のセルに条件書式を設定して、管理値を超えた時には、セルを黄色とする。規格値を超えた時には、文字を赤とする等の設定を入れておけば、自然に異常が感知できると思います。
異常判定の方法
経営の感覚からすれば、規格値に入っていればそれで良いと思いますが、規格値から外れる前に事前に手を打って、規格値内におさまるようにしなければなりません。そのための情報として、異常判定の方法があります。
異常判定データが出現しているにも関わらず、製造現場にフィードバックしなければ、それは、品質管理課の怠慢であり、検査ロボットでしかないと言われてもしょうがありません。
規格値から外れる
規格値から外れたものは、出荷できないし、不適合品となってしまうので、規格値から外れたものは、生産してはいけません。
連続したデータが偏る
7つ以上のデータが中心より上や下に偏るデータが連続して発生した場合。製造現場に伝えればすぐに調整してくれると思います。
連続したデータが傾向値を示す
6つ以上のデータが連続して、上昇する場合。下降する場合。これは、いずれ管理値を外れ、規格値も外れる可能性がありますので、製造現場にフィードバックして、その原因をいっしょに追及する必要があると思います。
規格値は外れていないが、管理値を超えるバラツキの頻度が高い
特に3点中2点が管理値を外れてしまう場合には、製造現場とそのバラツキの原因をいっしょに考察して、対応しないといけません。
通常管理値は、2σに設定することが多いことから、約95%は、管理値内に入ります。つまり、発生頻度は5%しかない管理値外のデータが66%の確率で起きること自体、異常です。
その他もあるようですが、私の経験からは、別に異常につながるものではないと考えております。
製造現場が大事
3現主義(現場、現実、現物)とあるように、まずは現場が重要です。製造現場に現実の情報を連絡して、正しい製品(現物)をつくる必要があります。そのためには、生産管理課が、客観的にデータを分析して正しい情報を伝え、その情報を製造現場が真摯に受け入れ、よりよい安定した製品製造に努めなければなりません。その方法として、日頃のコミュニケーションを良くして、セクショナリズムにならずに、同じ運命共同体という意識をもって業務に取り組んでいってもらいたいと思います。
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