品質管理に必ず必要なのは、仕様書です。製品規格やその検査方法、許容値を文書で記載したものが仕様書となります。仕様書の規格に則って検査を行い、合否を判定することをしないと、その都度、検査員の気分で製品の合否を判断していては、とても安定した製品の製造管理はできません。
仕様書の必要項目を決めましょう。
各社で必要事項がそれぞれ違うので、その必要項目はそれぞれ違うかもしれませんが、以下に、例を挙げます。
文書番号:仕様書を特定するために必要となります。仕様書が最新版かどうか識別するためにも必要です。
日付:文書を作成した日
承認印:だれが承認した仕様書なのか明確にする必要性があります。承認印+日付でいつ承認されたかも必要な項目だと思います。普通は承認者一人ではすべてを確認するには漏れが出てしまうので、審査者を1名以上確認してから、承認者に承認印をもらう仕組みが考えられます。
品番:その企業できめたその製品を特定する番号です。
品名:その商品・製品の正式名称。普通は仕様書に記載された商品名・製品名が、その企業においてのマスター名称なので、とても重要な項目です。
単位:個、箱、本、ケース、袋、面、反、隻、羽等、その品名を数える呼称です。
分類名:その企業が製品を分けて管理する枠です。新しい企業ではカテゴリというかもしれません。
JAN:一般流通する商品については、13桁のJANコードが必要です。
商品の目的:なにをするものかを簡単に記載する項目です。
部材:その製品を構成する部材名。部品に番号が付けられていれば、その部品番号と、その使用量。
寸法:製品寸法。設計寸法と許容誤差を表記するようにしてください。130±10mm等
商品重量:その製品だけでなく、商品としたときに1個あたりの袋に入っていれば袋ごとの重量を、設計値と許容誤差で表記するようにしてください。130±10g等
包装材:包装材の素材とその重量が必要になります。包装容器リサイクル法関連で必要です。
表示事項:必要な表示事項を仕様書で規定しておくことは必要です。表示内容に不備が発生したときに、出荷判定の基準となります。
試験項目:試験項目と試験方法、合否判定基準を明確に記載する項目です。同様な試験方法が別の製品でも該当する場合には、試験方法については、別紙を参照することができますが、合否判定基準は、別紙にしないで、仕様書に記載するほうが、良いと思います。
AQL:Acceptable Quality Level(合格品質水準)です。抜き取り試験の中で、すべてのサンプリングが合格しているということは、実際はあまり多くなく、なんらかの欠点がある場合が多いですが、ディスポ製品で全部を合格するような工程設計はとても費用がかかり、ある程度のところで欠点数量も企業として許容できる折り合いをつけなければ、製品原価がとても高くなりすぎて、顧客に満足がいくものになりません。そこで、JISでは、LOTサイズで抜き取り検査数量が決められ、そのサンプリングの中から、どれだけ不合格があった場合には、ロット全部を不合格にするという基準を決められております。ふつう、軽欠点、重欠点、致命欠点と、試験項目別に欠点等級を定めて合否判定基準とします。
中箱、外箱への入れ方と数量:中箱と外箱への入れ方と数量を決めておかないと、作業者によって、まちまちの製品入れ方をしてしまっては困ります。入れ方には、方向もありますのでその方向がわかるように記載しなければなりません。また、中箱、外箱への表示事項についても規定しておく必要があります。段ボールデザインが仕様書に必要と言っているわけではなく、LOT位置やその表示数です。可変情報をシールでなければ表示できない場合には、そのシールラベルとどこに貼付するかという内容です。
中箱、外箱のサイズと重量:中箱と外箱のサイズと重量も、流通業界にはとても重要な指標なので、仕様書に明記しておくことが必要です。
商品マスター
仕様書が商品毎に完成すれば、その内容を元にコンピューターに登録作業があります。コンピューターに商品情報を入れると、それは、商品マスターと呼ばれて、そのテーブルが元となり業務に使用されます。
階層型仕様書
中身の製品のみを記載された仕様書と、パッケージングを中心とした梱包仕様書に分けて管理する方法も、実務上は有益です。梱包仕様書は、特に機密事項は入れないでおけば、社内の文書を、そのまま提出することができます。流通業者も取り扱う製品をそれぞれの製品マスターに登録する必要がありますので、機密文書にしていないことで業務効率が上がる点でメリットがあります。
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