AQL(Acceptance Quality Limit)合格品質限界 と 抜き取り検査方法について、ご説明いたします。広義の意味で、品質とはQCDなので、品質と価格とデリバリについて、製造する側と購入する側が折り合いをつける必要があります。その両者で共通の測定基準(メジャー)があるととても便利です。価格は、それ自体が測定基準であり、デリバリは、注文してからどれほどで納品してもらえるのか?納品方法はどのようにするのか?を決めるものです。デリバリと品質の高さで、価格が変化するのは、イメージしやすいと思いますが、品質の高さについてどれだけ不良品が許容できるのかということを決めるときに、このAQLの知識が必要です。日本は品質について特別で、不良品をゆるさないという気運がありますが、不良品0を条件に製造していただける業者は、ないといってよいか、超コストが高くなることを認識しなければならないと思います。
抜き取り検査方法
日本では JIS Z 9015によって、抜き取り検査方法が決まっておりますが、だいたいどこの国も抜き取り検査方法については同じなので、日本だけでなく国際取引についてもこの抜き取り検査方法は使うことができます。
抜き取り検査のサンプリング数は、以下のように決めます。
①検査の水準を決めます。普通は通常検査水準です。より品質に厳しい水準が製品に求められる場合には特別検査水準を選択します。
サンプルサイズを大きくしたい場合には、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと数字を増やしていきます。一般的には通常検査水準のⅡが良いようです。
②該当するロットサイズを確認します。ロットサイズとは品質が同じとされる母集団の個数です。
①と②から、JIS Z 9015の付表1よりサンプル文字(A~R)を特定します。
サンプル文字がわかったら、次の表に進みます。
サンプル文字の列から、隣のセルにある数字を確認して、サンプルサイズ(どれだけ抜き取るか)を確認します。
この時のサンプルは、ランダムサンプリングで行うことを想定しております。今ではサイコロを使ってサンプルを特定する人はいないと思いますが、以前の9001のISO審査員は、サンプルのランダム性を聞いてきた審査員もいました。
なみ検査1回の表の抜粋を示しましたが、それ以外の合格水準や2回抜き取りやなみ検査でない場合には、JIS Z 9015をご確認ください。
上記表で、Ac(アクセプト)は、不合格でもロット全体を許容できる不合格数です。右のAcの数字以下であれば、そのロットは、全体として合格となります。
Re(リジェクト)は、ロット全体が不合格になる、不合格数の最低値です。
上記表は、JIS Z 9015の付表と記載を変えております。私自身は、この形の方が、わかりやすいからです。
JISの表は、読み解くのに慣れが必要です。
また、JISは、もっと厳しい不合格率からゆるい合格率までの表がありますが、あまり使用しないので、上記の表で事足りるのではと思っております。
AQL
上記表の合格品質限界がAQL(この場合には、 Acceptance Quality Limit )で、 Acceptable Quality Level (許容できる品質水準)であります。
試験項目について、それぞれAQLを指定して取引を行うのが一般的です。
当社では、試験項目の重要度に応じて、致命欠点、重欠点、軽欠点 に分けて、 致命欠点、重欠点、軽欠点 それぞれが、AQLの数字でいくつであるかを仕様書に記載して品質管理を行っております。
それぞれの試験項目ごとに別々のAQLを設定しても、現場での管理がしにくくなり、致命・重・軽の3段階程度に分けて、工場全体・会社全体で把握したほうが、その後のマネジメントがしやすいと考えております。例えば、致命欠点は絶対に出しません、等。
おまけ
今回、上記表より、もっとわかりやすくした表が以下となります。つまり、サンプルサイズを試験して、各AQLのReの数字以上であれば、ロットが不合格という表です。
検査とは、適合不適合を判定するものなので、不合格数だけわかれば、それで事足りるという考え方です。
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