999B02:原価計算のすすめ2

999:パソコン以外について

再度確認しますと、予定単価による工程別実際原価計算という計算方式です。全ての物に予定単価が設定されている事が前提です。材料費から説明していきますが、工程別実際原価計算なので、それぞれ工程別に、数量と金額を計算していかなければなりません。製造部全体で原価計算を行う場合には全部原価計算となります。

材料費

材料費の計算から説明します。

期首材料高 + 材料購入金額 = 材料費 + 期末材料高

です。材料費について解くと

材料費 = 期首材料高 + 材料購入金額 - 期末材料高

ですが、全ての予定単価と実際購入単価は必ずしも同じではありません。その差を差異と言います。

実際材料購入金額は、予定単価の材料購入金額と、差異の合計となります。

その差異は、右辺の材料費と期末材料の両方に振り分け(按分)しなければなりません。

何の比率で分けるかと言うと、それぞれの予定単価に数量を合計した金額同士で、比率で差異を按分します。

例えば材料費がの差異が10,000円あったとします材料費が90,000円で期末材料が10,000円だったとするとその比率は9:1となり、差異は材料費9,000円期末材料1,000円を配布することとなります。その月の材料費は99,000円、また期末在庫は11,000円となります。

労務費

労務費も同様ですが、労務費は、予定単価に時間をかけて、まずは計算しておきますが、実際の労務費が分かるのが月末には判明しないので、予定と実際の差異は、翌月となります。

労務費は、製造に関わるものと、工場事務や、品質管理等、間接的に関わるものがあります。間接労務費は、一度全体を合計して、ある基準で金額を割り振り(配賦)します。いろんな配賦基準が考えられますが、事務所とかでは、人に関わる仕事が多いので、各工程の労務時間とかが、配賦基準になると思います。品質管理に大きなウェートを置いている会社の場合には、試験検査費用を工程別に試算しておいて、その比率で按分する事でも良いと思います。精度をあまり気にしても、アウトプットは、そんなに違いはでないので、間接労務費の配賦基準は、適当に決めてください。

経費

ここでいう経費は、製造経費で、一般管理費の経費ではありません。製造に関わるものだけです。製造経費については、予定単価を労務時間にかける係数と、直接付加できるものに区別して計算できるようにしておきます。直接付加するもので、代表的なものは、減価償却費や、リース料金が該当します。それぞれの工程で電力使用量がわかれば、電力料も直接付加できます。このように、経費の中を直接付加できるものと、時間単価で計算するものとに、分けて考えます。経費についても、差異は必ず発生しますので、差異をつかんで必ず配賦するようにしましょう。製造間接費の中で、大きなウェートを占める修繕費については、各社それぞれの事業内容によって違いがあると思いますが、減価償却が終わった工程には、高い配賦基準を新しい製造機には、小さい配賦基準とかいう考え方もできると思います。

それぞれの差異を分析する事が、後に記載する管理会計につながりますので、単月の差異、累計の差異は、分かるようにしておきましょう。

製造費用

基本的に、製造費用は、材料費、労務費、経費で出来ており、それは間違いではありませんが、さらにそれぞれの差異を加算減算して製造費用とすることは、理解できたと思います。

製造原価

製造原価は、以下のようになっていて、

式で示すと、

期首仕掛品在庫高 + 製造費用 = 製造原価 + 仕掛品期末在庫高

となり、製造原価について解くと

製造原価 = 期首仕掛品在庫高 + 製造費用 ー仕掛品期末在庫高

となります。初めの月の期首仕掛品在庫高は、予定単価×数量で計算した予定金額を入れるわけですが、製造費用は、差異を含めた実際の金額となります。この期首仕掛品在庫高と製造費用の合計した金額を、完成した製品の予定単価×数量で計算した予定製造原価と予定単価×数量で計算した予定仕掛品期末在庫高の比率(予定製造原価:予定仕掛品期末在庫高)で期首仕掛品在庫高と製造費用の合計を按分するということになります。それなので、翌月から仕掛品期末在庫は、予定単価ではなくなります。

一つ一つの単語が長くて、すごくわかりにくいと思いますので、具体的な数字を入れて説明します。

上記説明すると、左側の合計は18万円、右側の合計は14万円、その差が差異4万円となります。この4万円を製造原価9万円と仕掛品期末在庫の5万円で、9:4に按分して、25,714と14,286に分けてそれぞれに配賦するということになります。結果的に当月のこの工程の製造原価は115,714円、仕掛品期末在庫高は64,286円となり、仕掛品期末在庫高は、翌月の期首仕掛品在庫高となります。

売上原価

売上原価は以下のようになっております。以下の場合には仕入商品がある場合で製造業に特化している企業は、仕入原価の部分はありません。

式で示すと以下です。

期首製品在庫 + 仕入原価 + 製造原価 = 売上原価 + 期末製品在庫

期首製品在庫と期末製品在庫は、仕掛品と同じ方法で算出しますが、売上原価は、工程別には存在しないので、全社ベースの製品在庫金額を取り扱います。製品在庫は、受払ミスによる入出庫差異であったり、取扱いミスによる減耗であったり、他の用途に使う他勘定振替等が存在してそれぞれ管理しなければなりません。

仕入原価も商品仕入について予定単価を設定して、予定単価より安い高いで仕入差異が発生しますので、材料費と同じ要領で、差異を把握します。製造原価は、各工程でそれぞれ計算された工程別製造原価を全部原価計算にしたものとします。

これで、売上原価が計算できるということになります。

売上原価 = 期首製品在庫 + 仕入原価 + 製造原価 ー 期末製品在庫 ー 他勘定振替等

この章では、原価計算まででよかったのですが、売上原価まで同様ということが理解できると、より分かりやすいと思って、売上原価まで説明してしまいました。

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